連帯のメッセージ

静岡県民間教育研究団体連絡会会長  伊藤 敬

 新英語教育研究会第35回全国大会の開催おめでとうございます。静岡県浜松市で開催されるこの全国大会に全国から参加された皆さんを心から歓迎いたします。

 先頃、6月30日に大学審議会から出された「21世紀の大学像と今後の改革方策について」(中間まとめ)において、「今後、国際社会で知的リーダーシップを発揮できる国、科学技術創造立国を目指す」、「大学は社会の変化に機動的に対応しつつ、一層その教育研究機能の高度化をすすめる必要が」あることを述べています。産業界の危機感を背景として、大変性急に高等教育の対応を求めているように思われます。

 21世紀は、一人ひとりの人間の全面的な発達とグローバルな視野とコミュニケーション能力こそ必要としているのではないかと、私は思っています。

 われわれは、現代社会において四方八方から分裂、緊張、軋轢にさらされています。また、人間は不完全なものであり、生存を続け、進化していくために、間断なく学習をしていかざるを得ません。ユネスコ教育開発国際委員会(委員長エドガー・フォール)は、1972年に、生涯学習社会の人間像として、「人間の身体的、知的、情緒的、倫理的統合による『完全な人間』(the complete man)」を提起しました。それは、現代の高度消費社会の将来への危惧の中で、人間がモノに従属する生存のあり方に対する疑念との関連で考えられました。世界の南北問題とも関連します。『完全な人間』の理念は、「人格の完成をめざす」我が国の教育基本法の理念とも合致します。

 ザメンホフのエスペラントをはじめ、さまざまな国際語が考案されましたが、現在までのところ必ずしも成功しておりません。真の異文化理解、国際理解を前提としつつ、事実上準国際語となっている英語の果す役割は大変大きいと言わなければなりません。我が国の子供、青年および成人に対する深い現実理解に基づいた英語教育の実践と研究の発展を期待しております。

 静岡県民教連としては、微力ですが側面から支援したいと思っております。第35回全国大会の成功を祈念しております。


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