文化行事第2弾

地元高校生&OBによる朗読劇

オーイ、ラッキードラゴン

 新英研浜松大会に、歓迎の気持ちを込めて、地元の榛原高校から、演劇部員とOBの皆さんがやってきます。演目は朗読劇、オーイ、ラッキードラゴンです。

 この劇は、どうこう演劇部顧問の伊藤泰博先生が、事件当時の新聞記事や資料をもとに書き下ろし、数年前に静岡県で開かれた全生研全国大会で上演され、好評を得たものです。今回はこの大会のために一部書き改め、作品として一層の完成度の高いものになっています。

 榛原高校演劇部は、県中部地区演劇合同発表会において、エネルギッシュで質の高い舞台を作り上げ、毎年話題を提供している創造集団です。今回は現役の高校生とOBによる普段の舞台では見られない一味違ったアンサンブルが生まれるのではないかと期待しています。


オーイ、ラッキードラゴン 感想

 演じる高校生及びOBの皆さんの実に一生懸命なのに非常に心打たれた。それはまるで第五福竜丸の被害者たちの魂がのり移ったかのようであったからです。  演じたみなさまの思いを核保有国の為政者になんとしてでも分かって貰うべく運動を広げなければいけないと思った。(新潟)


 感動いたしました。朗読劇までに至る経過がよくうかがわれ、何より子どもたちの心によくしみわたり、出てくるセリフの一つ一つが自分たちの心の叫びになっていたことが素晴らしかったです。(福島)


 1954年(昭和29年)、私は中学生になったばっかりでした。日本のマグロ船が南太平洋上でおかしな灰をかぶったというラジオのニュースを覚えています。四国の西端の漁港でもそれに続くビキニの水爆実験と久保山愛吉さん死亡は大ニュースでした。「ガリガリ」というガイガーカウンターの気味悪い音とともに耳に残っています。本日改めて久保山さんが40歳で亡くなったことを知りました。今や60歳に近い私にはその口惜しさ痛いほど分かります。当時盛んだった校内の弁論大会の半数以上の弁士が熱っぽく「水爆反対と久保山さんの死」を演題として取り上げた姿と本日の榛原高校の皆さんの姿が二重写しになりました。私たちの周囲にはいつのまにか変貌したかに見える若者たちの姿があります。しかし、正慶会長の開会のあいさつにもありましたが、子どもたちが求めるものの中に「平和」が含まれていることを聞き、21世紀を生きる彼らには当然だと思います。本日よく通る声のいきいきとした榛原高校の皆さんの姿に接して、新たな元気を与えられました。ありがとうございました。(愛媛)


 榛原高校生による朗読劇"Lucky Dragon"を見て何回か涙腺がゆるんだ。その場面は

(1)第五福竜丸の船員を家族が豊漁を期待して見送る場面

(2)久保山愛吉さんの愛娘が病床に横たわる父に呼びかける場面

(3)久保山愛吉さんの妻すずさんが「見舞金の650万円はすぐ返すから夫を返せ」と叫ぶ場面

(4)榛原高校の生徒全員が久保山さん夫妻の言葉を思い起こし、声をそろえて「このような出来事を絶対許せない」というフィナーレ

 このような場面はニュースでは報道されない部分ー人間の生きている場面ーを劇の中で見事に埋めているところであると思う。どうゆう場面にどのように感動するか、これは個性というものだと思う。文部省は見るのも見ないのも個性、感動するのも反発するのも、また反応を示さないのも個性というのだろうか。個性重視を説く文部省はかくして一人一人をバラバラにしてきた。今回の榛原高校の朗読劇はこの個人バラバラ主義路線にきっぱり対峙するものであり、感動した。(東京)


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