■ 九州ブロック集会
2009年5月
2009年 九州ブロック春の研究集会(宮崎)
今年の九ブロ集会は5月9日〜10日(土、日)に地元、中薗先生のご尽力で宮崎で開催されました。行事が重なり参加者は多くはなかったのですが、講師の長崎の緒方智子先生のワークショップを初めとして内容の濃いレポートが多く、いつもとは違った雰囲気でじっくり学べました。教職3年目の大林倫子先生が雲仙から参加、翌日は午前3時に起きてPTAのバレーボール大会に戻って行かれたのもみんなを元気づけてくれたことでした。
1 緒方智子先生(長崎総合科学大学講師)のワークショップ
先生は今回、この会の為に「Sharing & Living Together ―英語教師の歩み」という分厚い冊子を作成して下さいました。後に続く私達としては、これで先生のレポートを受け継ぎ、今後の実践の礎にさせて頂け、感謝の言葉もありません。なにしろ134ページに渡る内容ですので主として以下の点について討議を深めました。
(1)「幸太郎君からのプレゼント」(なんで英語を?)
「なんで英語バセンバトヤ」という生徒の素朴な質問に関して参加者が英語学習の目的と授業開きについてどう考えているかを出し合いました。異文化理解、母語理解の能力を深める等、いろんな答えが出ましたが先生は「異質物排除の克服と自己拡大」を強調されました。私達がどういう人格形成を目指すのかとの関連もあり改めて英語学習の果たす深い役割を認識したことでした。
(2)「文字の音声化」
いよいよ今年の4月から小学校での英語学習が始まり,現場はとても大変という話を聞きます。先生は長年、中学校で音声指導をしてこられた経験からローマ字の学習が英語音への移行を楽にすると言われ、ローマ字表をもとに説明。するとその表ではアルファベットの多くの文字が日本語の「う」行に集中していることがよくわかりました。熊本のSSHもあるけれど少し複雑ということで先生は独自で「文字のニックネーム一覧表」を作成。実際、依頼された小学校での授業でも生徒達に分かりやすかったそうです。参加者もこの「う行」に納得し、ただ教えるのでなく教師時自身がこのような法則性や特徴をきちんと押さえて教える事が大切だと納得しました。
2 レポート
(1)「英語学習から平和学習へ―中学校教科書の本文から沖縄戦の学習へ」
(大分県中津市立三光中学校 羽野祐司)
サンシャイン(開隆堂)の3年生の教科書のプログラム6の”Okinawan Music”という課で、内容を深める為に、新聞に載っていた”A Letter From Okinawa”という沖縄の高校の英語教師が出版した絵本(英語版)を使った実践でした。少々難しい単語はあるものの、少女の目を通して見た沖縄戦の様子が良くわかる文章です。教科書の本文を学習後、この英文を学習し以下の手順で取り組まれました。
生徒の感想から:
サンシャイン(開隆堂)の3年生の教科書のプログラム6の”Okinawan Music”という課で、内容を深める為に、新聞に載っていた”A Letter From Okinawa”という沖縄の高校の英語教師が出版した絵本(英語版)を使った実践でした。少々難しい単語はあるものの、少女の目を通して見た沖縄戦の様子が良くわかる文章です。教科書の本文を学習後、この英文を学習し以下の手順で取り組まれました。
- 当時の渡嘉敷島の生活を想像させ、絵や英文を書かせる。
- 少女になったつもりで渡嘉敷島にいる両親への手紙を書かせる。(日本語から英語へ)
- ”A Letter From Okinawa”を学習しての全体的な感想を書かせる。
- 再び「島唄」を聞かせる。(歌詞に込められた意味の説明を見ながら。)
生徒の感想から:
- Tさん
- 「沖縄の戦争は勉強したことはあったけど、こんなに深くまで勉強してなかったので、英語の勉強にもなったし、戦争のことについての勉強にもなった。今の沖縄は戦争があったかわからないくらい自然なところだし、きれいな海もあるので1回くらいは行ってみたい。」生きていこうと思いました。」
- Sさん
- 「生きたくても生きられなかった人たちもいるということを授業を通して改めて実感しました。命の大切さ、命だけではなく家族なども・・・。こういうかたちでなくなっていった人たちの分まで、これから私も自分らしく生きていこうと思いました。生徒の書いた英文も絵も生き生きとしていて先生の実践が生徒の心に深く響いたことが良くわかるレポートでした。
(2)「進学校における取り組み〜心が響き合う授業を求めて」
(大分県別府青山高校 中村龍彦)
昨年退職され、再任用1年目は大分東高校、2年目は青山高校と、先生は主として進学校でいろんな実践を積んで来られました。進学校であっても「修学旅行の平和メッセージ」、「キング牧師のスピーチ」、チャップリンの「独裁者」や「ライムライト」等に取り組み、3年生の英語表現クラスの卒業制作、「My Memory」を紹介。授業も起立しての音読練習や同時通訳式練習、「シートA,とシートB」のペア・ワーク等、変化にとんだものです。
(3)その1「英語通信は何故必要か〜今月の歌&英語通信の発行を続けて」
その2「英語通信 Peace」
(熊本県鎮西高校 畠田ミツ子)
(熊本県中学校 冨田憲一郎)
多忙な職場で多くの教師が病気になっている今、授業をもっと人間らしい、心を通わせる時間として捉えるべきではないか。Earth Dayや自分の海外研修、憲法問題等に触れ、生徒達にいろんな刺激を与え、考えさせる為に「今月の歌」や「英語通信」は重要だと思います。教材の補助や授業後の生徒の感想など多くのメッセージを伝えたいものです。畠田自身は教師3年目の大林先生に送るレポートとして書いてみました。冨田先生は今回も心のこもった丁寧な英語通信を発表してくれました。
(4)「特別支援学校通信」
(大分県立宇佐養護学校高等部 南文隆)
「特別支援学校」のシステムや生徒たちの学習内容の他、「外国語(英語)」は「いまのところ」無し等、詳しく報告してくれました。・・・「障がい」なのか「遅れ」なのか?何故「遅れ」たのか?「一般」的な発達の起因、要因とどう違うのか?北欧の国々ではpoliticallyに「特別な」扱い「(特別なニーズ)」「special need」)していないよね?・・・と障がい児教育の難しさ、言葉の違いの微妙さを考えさせられる報告でした。
「特別支援学校」のシステムや生徒たちの学習内容の他、「外国語(英語)」は「いまのところ」無し等、詳しく報告してくれました。・・・「障がい」なのか「遅れ」なのか?何故「遅れ」たのか?「一般」的な発達の起因、要因とどう違うのか?北欧の国々ではpoliticallyに「特別な」扱い「(特別なニーズ)」「special need」)していないよね?・・・と障がい児教育の難しさ、言葉の違いの微妙さを考えさせられる報告でした。
期 日: | 2009年5月9日(土)〜10日(日) |
場 所: | 宮崎市・ひまわり荘(宮崎県市町村職員共催組合) 宮崎市瀬頭2丁目4番6号 Tel:0985-24-5285 |
講 演: | 緒方智子先生 演題「学び合い、響き合う授業作り―その根底にあるもの―」 緒方智子先生のプロフィール(長崎総合科学大学非常勤講師) 1943年生まれ 長崎県内の公立中学校に38年間勤務。定年退職後現職。 その間、新英研全国委員 や中学校英語教科書の編集者を経験。 各地の研究会に講師・共同研究者としても出席し「わかる楽しい授業づくり・仲間と伸びる授業」等を模索している。 また、「リスニングトピックス」(三友社刊)「英語自己表現の授業」(三友社刊)「どうする小学校英語」(大月書店)(いずれも共著)等、著作も多多い。 |
日 程: |
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参加費: | 3,000円 一泊二食:11,000円 (利用券での補助あり=県によって1,000円〜2,500円。ご確認をよろしく) |
申込みみ・ お問い合わせ先: |
〒862-0941 熊本市出水5丁目9-29 畠田ミツ子 Tel&Fax: 096-211-5065 ※締切 第一次 4月20日(月) 第二次 4月30日(木) |