■ 九州ブロック集会
2006年12月
2006年九州ブロック集会(第51回九州民教研(山鹿)集会)
今年の九州民教研集会、熊本=山鹿集会のご報告を致します。大阪の小部先生にははるか大阪からご参加、外国語分科会を盛り上げて頂き、深く感謝しております。
開会行事
重要文化財の八千代座の暗い中で、明かりのついた灯籠を頭に載せて踊る幽玄な「山鹿灯籠踊り」の披露や熊本の県生活指導サークルによる肥後にわか、現地実行委員会による「高くかかげよ」の歌声などで寒さも吹き飛びました。また、福岡の筑前市でいじめを苦に自殺した子どものお母さんからも特別アピールがあり、改めて教育現場での取り組みを考えさせられました。
記念講演
「子どもも教職員も安心して生活できる学校」―困難な中で授業をどう作っていくか―
今泉 博さん(北海道教育大学)
- 何が困難な状況を変える力になりうるか
- 不登校だった詩穂さんの軌跡に学ぶ
- 子どもたちの願いと「いじめ」問題への対応
- 子どもたちが生き生きと学ぶ授業をどう創るか
- 教育は希望を育む仕事
熊本新英研の牧野さんの感想:
「全体的な落ち着きの無さに加え、話を聞けない、日常的に起こるケンカ、いじめ、あまりのひどさに希望など無いように見える崩壊クラス・・・そこに『先生がね、みんなに話したいことがあるんだけど、聞いていただけませんか。』と語りかける今泉さん。丁寧な語りかけと、紙上討論での『いじめ』『暴力』克服。キレル子どもたちにこちらもキレテ対応していては何も解決しないのですね。私のクラスでも3学期からまだ何かやれそうと希望が持てたお話でした。」
「全体的な落ち着きの無さに加え、話を聞けない、日常的に起こるケンカ、いじめ、あまりのひどさに希望など無いように見える崩壊クラス・・・そこに『先生がね、みんなに話したいことがあるんだけど、聞いていただけませんか。』と語りかける今泉さん。丁寧な語りかけと、紙上討論での『いじめ』『暴力』克服。キレル子どもたちにこちらもキレテ対応していては何も解決しないのですね。私のクラスでも3学期からまだ何かやれそうと希望が持てたお話でした。」
分科会(外国語分科会)
昨年と同じ21名の参加でした。熊本大学の学生や大学院生、退職後も活躍しておられるメンバーの参加も多く、多方面にわたり討議が出来ました。1日目は自己紹介の後、4本の発表があり、2日目は更に4本のレポート発表がありました。
- (1)「授業を創る子どもたち―平和を視点においた英語の授業づくり」大阪:(中学)小部修さん
- まず小部さんがサックスでロッド・スチュアートの「セイリング」を演奏。参加者は、しばし2学期の疲れを癒されました。
次に市教研の研究授業で生徒たちが小先生方式で活動する様子をDVDで見ました。内容は- 授業はじめの挨拶
- 英文カードで紅白戦ゲームをするwarm-up
- 英文絵日記の暗唱
- 「ローザ・パークスバス事件」のスキット上演
DVDを見終わって、「なぜ、小先生方式をとるのか?」の質問が出ました。これに対して小部さんは「言葉の持つ力」を感じ、理解させたい。例えば担当生徒たちは自分たちの言葉=指示でクラス全体が動くという実感と感動を体験することが出きるのだと説明。
また、「英文絵日記が英文も、その挿し絵も大変優れたものばかりだが、その訳は?」という質問には「班学習の力」、つまりお互いに助け合い、切磋琢磨するので、みんなの力が伸びていくのだと思うとのこと。いずれにしろ、生徒指導も結構大変な中で、小部さんの、生徒の気持ちに寄り添った、緻密で根気強い指導があって初めて、このような小先生方式の授業が出来るのだというのが参加者の感想でした。
- (2)「英語が口から出てくるまで―四技能を使ったタスク」長崎:(高校)鈴木奈尾子さん
- 職業系の定時制高校で英語の履修は1,2年のみ、しかも2単位ずつ計4単位という状況での実践。なかなか授業に集中出来にくい生徒たちに、フラッシュ・カードが
(1)導入(=発音練習)と
(2)小テストの準備(=スペルの練習)、
(3)そしてテスト本番と大変、効果的に使われていた。それに続く、授業も歌詞の穴埋めや、英文と日本語訳でセットになっている音読カードと暗唱カードの利用等、とても工夫がなされていた。鈴木さん本人の考察に述べられていた「中学校では、テープをただ、何となく聞かされていた。ヒアリング・テストは適当に○をつけるので簡単だった。」とか「ALTが一人でぺらぺらしゃべっているだけで俺達は何もしなかった」などという生徒の声を聞けば、 hearing=受動的、 speaking=能動的、 reading=受動的、writing=能動的という分類は確かな力を付けるために生徒に与えるタスクの内容及び質として、私達が真剣に考えなければならない点ではないだろうか。
以下、レポートのみ紹介。 - (3)「ALTとどのように授業をつくるか」大分:(中学)羽野祐司
- (4)「山鹿とエスペラント」熊本:(一般)野村忠綱
- (5)「Where is Africa?」長崎:(大学)緒方智子
- (6)「思考をひらく」大分:(高校)足立正和
- (7)「Warm-up 教材、そしてポスト・テキストブックとしてのいくつかの教材の 紹介」大分:(高校)南 文隆
- (8)「予習プリントについて」大分:(高校)中村 龍彦
<2日間の討論のまとめ>
全体として生徒達の英語力というよりも国語=言葉の力がダウンしてきており、どの学校でも教師が教材を工夫し、四苦八苦して授業を成立させているという印象が強かった。そんな中で特に問題になったのは中学の1年生の最初の段階から習熟度別授業をしようとしている学校があるという事で、参加者から多くの反対意見が出された。まだ英語を学ぶことに夢と希望を持っている生徒たちになぜ、そんなに早い段階で習熟度別のクラスに分けてしまうのか。もっと学校自体がゆっくり、じっくり学ぶという姿勢を堅持し、保護者にもそこをしっかり理解してもらわないといけないのではないだろうか・・・と。
また鈴木レポートにもあったように生徒の活動をいかに実際的なものにするかという観点から、大分の中村さんの一斉読み方練習で、「みんなが立って読む際、時間を区切って最初は前を、次に窓の方を、最後に後ろを向いて読ませる」というやり方は緊張感があって良い方法だなと感じた。
教育基本法が強行採決された後、ますます現場は厳しくなることが予想されるけれど、誰が何と言おうと、直接生徒たちと接するのは我々教師。今後、この民教連の和を強く、大きなものにすることこそ、平和な日本の後継者を育てることにつながるのだと確信した2日間であった。
また鈴木レポートにもあったように生徒の活動をいかに実際的なものにするかという観点から、大分の中村さんの一斉読み方練習で、「みんなが立って読む際、時間を区切って最初は前を、次に窓の方を、最後に後ろを向いて読ませる」というやり方は緊張感があって良い方法だなと感じた。
教育基本法が強行採決された後、ますます現場は厳しくなることが予想されるけれど、誰が何と言おうと、直接生徒たちと接するのは我々教師。今後、この民教連の和を強く、大きなものにすることこそ、平和な日本の後継者を育てることにつながるのだと確信した2日間であった。
期 日: | 2006年12月26日(火)9:00〜27日(水)15:00まで |
会 場: | 熊本県山鹿市 八千代座(開会行事、記念講演)・富士ホテル(分科会) |
テーマ: | 「子どもたちに やさしさと かしこさと たくましさを」 |
内 容: | 26日: 記念講演(26日10:30〜12:30) 講師:北海道教育大学助教授 今泉 博 〜 「どの子も発言したくなる授業」で有名な元小学校教諭・著書に「集中が生まれる授業」など 分科会・講座(26日14:00〜17:00、27日9:00〜12:00) 夜の交流会・・・九平研総会&学習会、おもしろ理科実験教室、不登校を考える集 い、さをり体験、地酒を楽しむ会など。 27日午後:教育基本法を考える集い |
参加費用: | 参加費3,000円、一般2,000円、学生1,000円 宿泊費10,000円 |
熊本民教連事務局: | (三池 和彦) |
現地実行委員会: | (永廣 正治) |
(連絡先:畠田ミツ子)
(2008年3月9日 )