■ 2000年北信越ブロック集会

2000年1月

 2000年1月5日、6日、長野市には珍しく雪のない中で、富山、新潟、石川、長野各県の24名の参加者を迎え長野市のホテル三景苑で集会を開催しました。

記念講演「長野オリンピックの光と影」

 山岸堅磐先生(信州の教育と自治研究所理事長)から98年の長野冬季オリンピックにかかわる経過、財政問題、自然保護問題、商業主義問題、会計帳簿紛失問題、オリンピックIOCの改革にかかわるお話をいただきました。  自然保護問題ではブナ林や原生林、八方尾根の「鎌池湿原」、「逆谷地湿原」のすばらしさ、一方CBS―TVの473億円の放映権料に左右される競技会など興味深いお話をうかがいました。「清貧のオリンピック」ということばが印象深く記憶に残ります。

ワークショップ「学習集団をエンパワーする授業マネジメント」

 ワークショップは中嶋洋一先生(富山県出町中学)に「学習集団をエンパワーする授業マネジメント」と題してお願いしました。"From each according to ability to each according to need"を基本概念としたコミュニケーションの学習過程を、「私の授業づくり6つの基本」を中心的な骨子として、参加者に活動を通して刺激的に分かり易く示してくださいました。
 ワークショップの活動がどのような意味を持ち、どのような理論に裏打ちされているのか、また、3年間の長期の目標を実現するための過程のどこに位置付けされたもので、何をねらった活動なのかが分かる発表に感銘を受けました。
 何よりも、3年生の生徒の授業の感想が授業のすばらしさを語っていると思いました。「(抜粋)・・・・・他の教科の授業では『最後の授業です』と言われても何も感じなかったのに、今日(中嶋先生の)『英語の授業が最後』と聞いて、悲しくて胸がキュンとなりました。」 
[*(  )内は内堀が加筆]

実践報告

■ 宍戸真知先生(新潟県長岡市立東中学校)「中学校での英語教育で大切なこと」はコミュニケーション能力強調、「人材教育」(長岡市で導入)などの環境の中で大切にしたい英語教育とは何かを提起されました。
  • 「クラスの環境に関して生徒同士、生徒と教師がよい関係の中で学びあうこと、授業が安心して学べる場になるようにする。」
  • 「授業については自分のことばで話したり書いたり対話ができるように、身近な場面、事実に基づく場面設定を工夫する。英語を通し、心を動かされ、考える機会となるような題材を。」
と提起され、授業実践を報告されました。
■ 竹口洋子先生(富山県高岡南高校)「UNIT方式による発信型の授業展開―プロモーションビデオ、パンフレット、レポートを用いて」では社会問題の課題を班ごとに選択し、分析・解決策を探りながら英語で発信する総合的、創造的な力を高める授業実践でした。
 テーマは "Aging Society", "Stop the Youth Suicide","Stop!! Bullying"など身近で深刻な問題を調べ、学び、ビデオ制作、パンフレット作りでメッセージを発信する総合的な取り組みでした。
■ 林茂樹先生(長野県須坂園芸高校)「英語授業、再出発」は5年間の専従期間を経て現場に戻られた林先生の意気込みとヒューマンな思いにあふれた実践報告でした。
 英語の歌を使った実践、AETとの共同でのInterview Test,また"Project America"では班ごとにテーマを設定し、調査し、まとめ、英語で発表という総合的な取り組みをしました。学年主任として発行される学年通信や英語科全体で取り組む授業実践は「再出発」以前にも増して参加者を元気付けるものでした。
■ 小林見法先生(長野県墨坂中学校)「New Horizonを使ったときの生徒のつまづき」は教科書の各単元を詳細に分析し、生徒のつまずき易い部分への対応策、改善点を提起しました。
 つまづき易い点として、
  1. Starting Outと本文の不釣合い。
  2. Storyの分かりづらさ。
  3. 人称について。
  4. 短縮形について。
  5. Be動詞の変化について。
  6. 発音について。
など細かい分析がなされています。
■ 清水陽月先生(長野県楢川中学校)「Warm-UpとしてのQA活動------ Show and Tellから一歩踏み出すPicture Cardの活用」は生徒間双方向の質疑活動を活発にし、自己表現、英語表現を継続的に「短冊形」に記録する中で生徒を励まし、力をつけた実践でした。
 この実践を通して、生徒たちは「簡単な表現で説明したり、質問することに慣れてきたり」、「自分の言いたいことを書いたり話したりするための新しい表現、語彙を知りたがるようになった」と成果を述べています。
 一方、「想像しながら英語を言うことに楽しむ生徒と、困難を感じる生徒がいる。」「表現が同じものになり、表現に幅が無い。」といった課題も述べています。
■ 集会終了後、富山、新潟の参加者の方と松代大本営跡を見学に行きました。各県の参加者にはたくさんの励ましと、豊かな宝物「実践」を頂きました。御礼申し上げます。

文責:内堀守(長野新英研)

  

日 時: 2000年1月5日(水)12:30受付 13:00開会
〜 6日(木)12:00閉会
ところ: 「ホテル三景苑」
(長野市新田町1477:中央通りダイエー南)
電話(026)228-3399
テーマ: 「学びがいのある英語授業の創造を」
内 容: ◎講演
「長野オリンピックの光と陰」---民主的オリンピックの発展のために---
 山岸堅盤(信州の教育と自治研究所)
◎ワークショップ
「学習集団をエンパワーする授業マネジメント」
 中嶋洋一(富山県出町中学校)
◎レポート
  1. 宍戸真知子(新潟県長岡市中学校)
    「中学校での英語教育で大切なこと」
  2. 林茂樹(長野県須坂園芸高校)
    「英語授業、一からの再出発」
  3. 富山県高校予定
  4. 小林見法先生(長野県墨坂中学校)
    「New Horizonを使ったときの生徒のつまづき」
  5. 清水陽月先生(長野県楢川中学校)
    「Warm-Up としてのQA活動
    ---- Show and Tell から一歩踏み出すPicture Cardの活用」